別のブログで俳句の本を読んだ記録が残っているので、まとめてみた。数えてみたら14冊もある。 俳句の本を読む カテゴリーの記事一覧 - 何かのヒント hint.hateblo.jp hint.hateblo.jp hint.hateblo.jp hint.hateblo.jp hint.hateblo.jp hint.hateblo.jp hint.hateblo.jp hint.hateblo.jp hint.hateblo.jp hint.hateblo.jp hint.hateblo.jp hint.hateblo.jp hint.hateblo.jp hint.hateblo.jp この中でお勧めしたいのは「古句を観る」で、次点は「機嫌のいい犬」「変哲半生記」「四合目からの出発」あたり。 古句を観る (岩波文庫) 作者: 柴田宵曲 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1985/1
歌人の穂村弘の書評集を読んだ。いかにも義理で引き受けていそうな文章もあれば、これは魂の底の底から書いていると、こちらが勝手に確信するような文章もあって、基本的にこの人の批評とか書評は面白くてためになる。 これから泳ぎにいきませんか: 穂村弘の書評集 作者: 穂村弘 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2017/11/28 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (2件) を見る 読んでいる間、この本は面白そうだなと思っても、どこかに書かないと必ず忘れるので、二冊だけメモしておく。 句集 海藻漂本 作者: 佐藤文香 出版社/メーカー: ふらんす堂 発売日: 2008/06/01 メディア: 単行本 購入: 4人 クリック: 6回 この商品を含むブログを見る 一冊は佐藤文香の句集「海藻標本」で、十代から二十三歳にかけての作品集だという。これが少しも若者っぽさのない句で、渋い落ち着きが
私はほぼ毎日のペースで変な回文を作っていて、それらの回文がブクマされた時に「テクノロジー」「暮らし」「学び」「エンタメ」などに分類されると少々まずい。だから一つ一つ「おもしろ」「ネタ」という区分に書き換えるのが日課になっている。 ところがいつの間にか「おもしろ」の中に「五七五」という項目ができていて、読んでみると見出しが五七五になってさえいれば何でもいいらしい。 はてなブックマーク - 新着エントリー - おもしろ - 五七五 ナポリタン、ソース継ぎ足し半世紀 テスト系自社製品を作りたい トランプの心が読めない北朝鮮 銭湯に入れ墨客が多い街 バイキング佐藤弁護士「恥ずかしい!」 などなど、鑑賞や解説を書いてみたいくらい五七五という形式は魅力的である。 www.huffingtonpost.jp 偶然短歌 作者: いなにわ,せきしろ 出版社/メーカー: 飛鳥新社 発売日: 2016/08/1
以前、上5を「嬉しいな」に変えてしまう「嬉しいな俳句」を考えてみた。 今回は下5を強引に「法隆寺」にする「法隆寺俳句」を鑑賞してみよう。 法隆寺(TVサントラ) アーティスト: マスター・マインド 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックレコーズ 発売日: 1994/12/22 メディア: CD クリック: 4回 この商品を含むブログ (12件) を見る 荒海や佐渡に横たう法隆寺 【解説】豪快、かつスケールの大きな法隆寺である。 海へ出て木枯らし帰る法隆寺 【解説】一旦は海へ出てみたものの、やはり法隆寺に帰るという、擬人化された木枯らしの可愛い様子が印象的な句。 赤い椿白い椿と法隆寺 【解説】法隆寺の近くで赤い椿と白い椿が落ちた。目に鮮やかな印象を残す句である。 これがまあ終の住み処か法隆寺 【解説】まあ、ちょっくら法隆寺で老後の生活でも送りましょうかね、という慨嘆である。一体どんな身分の
「八十八句」は丸谷才一の句集である。 しかしこの本は非売品で、全集の初回配本分の特典になっていたもの(注:後に「七十句」と合わせて文庫化された)。 七十句/八十八句 (講談社文芸文庫) 作者: 丸谷才一 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2017/11/10 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 私は全集を買った訳ではなくて、たまたま図書館にあったので借りて読んだ。 中身は題名の通り「八十八句」からなるかというとそうではなくて、実際は百四句ある。 今度『七十句』 以後の作をまとめて出してもらふことにしたが、句数は題と揃へてあるわけではない。いい加減である。これも俳味と受取つてもらへると嬉しい。 とあとがきに記されている。 「春」「夏」「秋」「冬」「新年」と分かれているので、順番に何句か紹介してみたい。 まずは「春」。 生きたしと一瞬おもふ春燈下 この句には添え書きがあって「金沢
俳句の本が数々ある中で、これまでに私が読んだ本はせいぜい数十冊にすぎない。 その数十冊の中で何の留保も条件もつけずに☆5つと言える本は二冊しかなくて、そのうちの一冊が本書である。 ところがこの本の紹介は妙に難しい。 良い本ならその良い点をただ素直に挙げていけば済む話だが、この本はどの部分を紹介すればいいのかを考えながら読んでいるうちに、またじっと読みふけってしまう。 書いてある内容を熟知していても、また読み返したくなる。 古句を観る (岩波文庫) 作者: 柴田宵曲 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1985/10/16 メディア: 文庫 クリック: 4回 この商品を含むブログ (3件) を見る 柴田宵曲の文章には人心を穏やかにさせる性質があって「この本は凄い!ぜひ読むべき!」といった興奮型の書評や感想を書く場合の心理とは真逆の方向へと心を持っていかれる。 むしろ日頃のザワザワ、そわそ
晴。 研究室の先輩後輩がたと、Wにて午食。 貴重な本のコピーを某先生からお借りする。 書籍部で「文庫・新書バンドルセール」がやっていたので、文庫を四冊買った。そのうちの一冊が柴田宵曲『古句を観る』(岩波文庫)で、これには森銑三と小出昌洋の解説が附いている。 武藤康史氏は『国語辞典の名語釈』(三省堂)の「はじめに」で、「そういうの(国語辞典の語釈のこと―引用者)をいろんな辞書からよりぬいて、並べてみたかった。柴田宵曲の『古句を観る』のような書き方にずっと憧れていた」(p.2)と書いているし、また向井敏氏は『傑作の条件』(文春文庫)の「知られざる傑作」(pp.113-17)に、こう書いている。「芭蕉やその高弟たちの作品に関する研究や鑑賞なら、戦前といわず今日といわず、さかんに行われてきたけれども、同じ元禄期の群小俳人の知られざる傑作だけを対象にした評釈はこの『古句を観る』がはじめてで、その後も
大抵の本は一読した直後におよその印象や評価が定まって、それ以降ほぼ動かない。だから再読して評価が上がったりすると、それがかなりの名作であると実感できる。 この本はかれこれ二十年以上も手許にあって時々読み返しているが、印象も評価もその時その時で上下動しているという珍しい本である。ひと言では言い難いものがあるので、今回はその印象の推移を順番に追ってみたい。 1.星新一「きまぐれ博物誌」 きっかけは中一の頃で、星新一のエッセー集「きまぐれ博物誌」に収録されている書評でこの本を知った。当時の私はまだ純朴であったため、本というものは真面目な人が真面目な内容を真面目に書くものだと固く信じていた。 きまぐれ博物誌 (角川文庫) 作者: 星新一 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング) 発売日: 2012/12/25 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (2件) を見る ところが星新
渡邊白泉の代表句「戦争が廊下の奥に立ってゐた」を初めて知ったのは自分が二十歳の頃である。 この句の「いきなり」な感じは強烈で、しかも思わず笑ってしまうような衝撃と、じめじめした不吉な暗さが同居している。本書はその白泉の句から百句を選んで、一句あたり一ページの解説を付したコンパクトな本である。このくらいの量だと読みやすく、作られた順に並んでいるので評伝を読むような趣もある。 疾走する俳句―白泉句集を読む 作者: 中村裕 出版社/メーカー: 春陽堂書店 発売日: 2012/09 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 幾つか印象的な句を挙げると、 街燈は夜霧にぬれるためにある これなどは「街燈」「夜霧」という組み合わせが昭和三十年代の歌謡曲を思わせて大した句ではなさそうだが、昭和九年の句であると知ると見方が変わる。 ハルポマルクス見に起重機の叢林を マルクス兄弟の映画を観に行くこともあ
以前紹介した句集「蜂の巣マシンガン」の選句をしたのが前回の「魅了する詩型」を書いた小川軽舟で、つまり師弟関係である。小川軽舟のそのまた師である藤田湘子が書いた入門書がこの本になる。 角川学芸ブックス 新版 20週俳句入門 作者: 藤田湘子 出版社/メーカー: 角川学芸出版 発売日: 2010/04/21 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 1回 この商品を含むブログ (3件) を見る 本書は二十週間かけてカルチャーセンターの「俳句講座」に通う気分を味わえるように週別の構成になっている。 最初は心構えや必需品、俳句の定義などで、後半は実作のための課題や宿題が出て、俳句仲間風のキャラクターも登場する。 ちなみに藤田湘子の「湘子」は「しょうこ」ではなく「しょうし」と読む。私はてっきり女性歌人だと思いこんで読み始めて、 「やけに威勢のいいババアだな!」 と毒蝮三太夫風に内心で毒づきながら
正岡子規の随筆集は「随筆」と言っても今の随筆とは異なり、日記や創作や批評や政治論や俳句論やらがゴチャゴチャに混ざっていて、猥雑な面白さに満ちている。 この「松蘿玉液」はたまたま立ち読みでパラパラ見ていたら、類想句の話題が出ていたので買ってみた。 77ページの「暗号瓢窃」から90ぺージまで、およそ五十句ほどの例を挙げてあれこれ書いてあるのだが、どれが剽窃でどれは偶然と判別できるものでもなく、最初から「当人ならでは知るべからず」と書いてあるし、はっきりこうだといった結論というほどの結論はない。 それでもこの問題を手際よく整理してあって、剽窃と偶然の一致のほか「不明瞭なる記憶」もあるだろうという指摘など、いま現在は最有力の理由ではないだろうか。 松蘿玉液 (岩波文庫) 作者: 正岡子規 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1984/02/16 メディア: 文庫 クリック: 3回 この商品を含
俳句の本のうち「作り方(詠み方)」指南の本が割と多くある。 この本は発想別に多くの句が100通りに分類されているが、分析や解説は少ない。 ひとつのテーマに関する文が2,3行あって、例句が数作あって、一句につき1~3行のコメント風の言葉が添えられているという構成になっている。 文庫 俳句がうまくなる100の発想法 (草思社文庫) 作者: ひらのこぼ 出版社/メーカー: 草思社 発売日: 2014/08/02 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 「強引に断定する」「失敗を詠む」「視線を移す」「匂いをかぎとる」などはよくありそうだが「死後を詠む」「幻を詠む」「動物と一体化する」「絵画のイメージを借りる」といった特殊な視点のテーマまで出てくるので、発想法の本というよりは「発想別のアンソロジー」と説明した方が事実に近い。 いわゆる鑑賞文は退屈で難しいから読みたくない、という人にはコンパクト
「機嫌のいい犬」は作家の川上弘美が出した句集で、私が初めて全て読んだと言える句集であった。以前にも少しブログで紹介したことがある。 機嫌のいい犬 作者: 川上弘美 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2010/10/26 メディア: 単行本 クリック: 16回 この商品を含むブログ (17件) を見る その後あれこれと俳句の本を読むにつれて、理解が深まったと思える句もあれば、かえって謎が深まった句もあるので、今回はそのあたりの付け足しを少し書いておくことにする。 hint.hateblo.jp まず理解が深まったように思える句について。 川上弘美の句は概ねどれもシンプルで分かりやすいのだが、それでも、 森閑とプールの底の消毒剤 この句の単純性には驚いた。本当に何も言っていない句で、俳句とはここまで主張や捻りがなくてよいものなのかと呆れるような気にもなった。しかし、読み終えた直後からずっと
自信満々で「私は雑多に何でも読みます」とプロフィールに書いている読書家でも、なかなか句集には手を出さない。というかそもそも「句集」という分野は視野に入っていないように思われる。 私も作家や芸能人が余技で出している句集は読んだことがあったが、俳人が出した句集を通して読めたのはこの本が初めてである。そもそもはツイッターでこの人の第二句集「ふるさとのはつこひ」が宣伝されていたのをたまたま目にしたのがきっかけであった。 http://togetter.com/li/800251 表紙が句集らしくないのがまず良いと思った。余談だが、表紙絵を描いている逆柱いみりという人は90年代に「ガロ」でポツポツ作品を発表していた漫画家で、私は当時から妙に惹かれるものがあって、単行本も買って読んだ。 いま現在は、はてなダイアリーにオフィシャルブログがある。 http://d.hatena.ne.jp/nkpmkp/
俳句関連の本を大別すると、「句集」「鑑賞・批評」「アンソロジー」「入門書」「歳時記」の5つくらいに分けられる。 そのうち明らかに多そうなのが入門書で、おそらく売り上げ全体の半分近くは入門書によるものではないかと思う。 この本は新聞の連載をまとめたというだけあって、初歩的な段階から小項目ごとに平易な説明が並び、ですます調で分かりやすい。 金子兜太の俳句入門 (角川ソフィア文庫) 作者: 金子兜太 出版社/メーカー: 角川学芸出版 発売日: 2012/05/25 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る しかし平易すぎて、大人の目で読んで感心するようなことはほとんど書かれていない。また、何かにつけて中学生や高校生の句を例として挙げて、いちいち「〇〇高校の〇〇△△君の作」と書くのには閉口する。 そういう訳で、できるだけ初歩的な段階から、理解しやすい入門書を読みたいという人には向いているが、本
竹岡一郎句集「ふるさとのはつこひ」近日発売で見本が届きました。 透明なカバーを外して開くとこんな感じ。 中にも絵があります。 依頼が来た時、このタイトルに自分の絵でいいのか?と思いましたが、内容は割と近い世界もあるような奇妙な句集でありました。 一部を紹介。 あめふらし愛づるに突如融解す 赤蟻の煮え熔くるごと群がりぬ 鱈割けば朝焼色の卵湧く 少年は兎飼ってもすぐ死なせ 抱きをればだんだんもがき出すむじな 祭あと市電がへんなもの撥ねる 乳に蛸載せて行き交う女たち ふらんす堂 定価2500円+税 今日は呑んでしまいました....。また振り出しです。 。
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