今回のnoteでは先に挙げた現代思想2019年11月号と、現在反出生主義を牽引している哲学者デイヴィッド・ベネターによる『生まれてこないほうが良かった——存在してしまうことの害悪』 (小島和男・田村宜義訳 2017 すずさわ書店)の2つのテクストを主な参考文献としてお話を展開していく予定なのだ。 と、その前に、こうした哲学的地平の議論に入る準備運動として、note前半部分を使って市井の人々(not アカデミシャン)が抱く出生主義の「素朴理解」をあらかじめ潰しておきたいと思うのだ。小難しい議論を展開したところで、出生主義の側に立つ人たちは「子を産むのは個人の権利だ」とか「でも少子化加速させてるよね?」とか、素朴理解に基づいた反論をしてくるだろうと容易に予測できる。しかしシャライさんは何かポリティカルな主張をする以上、想定しうる反論には丁寧に応答しておくのが筋だと考えるのだ(学問的潔癖なのだ!