~中略~ 田中広は気持ち良さそうに走塁練習を続けていた。昨年8月に右膝を手術。動きの制限は「ない」と言う。「元気でしょ?」。日焼けした笑顔から、確固たる自信が見え隠れした。日南、沖縄キャンプでは実戦全9試合に1番遊撃で先発し、計19打数6安打の打率3割1分6厘。走塁面ではけん制悪送球に一瞬の遅れもなくスタートし、とっさの帰塁でも俊敏な切り返しを見せている。 昨季は97試合出場にとどまり、打撃3部門で自己ワーストの数字。2番菊池涼との「タナキク」も解体されたが、絶不調の原因は明白だった。「100%の半分もいかないぐらいの状態。本当に走れないし、打てなかったので…」。右膝の激痛が消えた20年、「タナ」が再び虎の脅威になることは間違いなさそうだ。