話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。今回は、12月24日、「球団に残留の意思を伝えた」と報道されたヤクルト・小川泰弘投手と、過去にFA権を取得しながらチーム残留を決めたエースにまつわるエピソードを取り上げる。 ~中略~ 年俸や複数年契約は、プロ野球選手にとっていちばんの評価基準であり、FA権を行使して好条件を提示するチームに移籍するのは、選手の自由。何ら後ろ指を差されることではありません。ただ、小川が「金額じゃない」と言ったように、チームへの愛着だったり、やり甲斐を理由に残留を選ぶ選手もいます。それもまた、選手の自由。 残留した例で真っ先に浮かぶのが、2006年オフ、FA権を行使せず広島に残った黒田博樹です。当時のカープは毎年Bクラスが続く低迷期にあり、FA制度導入後、主力選手の流出が続いたことも大きな理由でした。この年、FA権を取得した黒田にも、巨人・阪神