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2008年8月16日のブックマーク (1件)

  • こころ 1

    12. こころ 1 漱石は「虞美人草」までの初期作品でエリートインテリの社会に対する批判意識を肯定的に描写した後、「門」までの作品でその批判的な意識がエリートインテリの社会的孤立を反映した精神であることを明らかにし、「彼岸過迄」から自己の社会的な孤立と無力を意識化する過程を描写した。「こころ」によってインテリの自己否定的な精神が完結するとともにインテリ精神は自己の質の認識という歴史的な意義を獲得する。 漱石は「先生と私」で先生の生活の外面的な観察を描写し、そこに現れた矛盾を先生を理解する鍵として与えている。 まず先生は「私」に対して静かで淋しく近づき難いと同時に近づきたいという印象を与えたとされている。初期作品では世間に対する超然とした態度は外界に対する高さを意味しており、それが特別の印象を与えるものとして描かれていたが、ここでは先生の超然とした態度は外界との断絶を意味しており、先生が世