10月30日にモスクワ郊外で会談するロシアのメドベージェフ大統領(左)とプーチン首相(ロシア大統領府提供、AP) 1990年代から行われてきたロシアの世界貿易機関(WTO)加盟交渉に異変が起きている。プーチン首相が6月、ロシア一国での加盟交渉を停止し、隣国のカザフスタン、ベラルーシと結成する「関税同盟」として加盟を申請することを表明。その後、メドベージェフ大統領がこの方針を事実上、撤回したのだ。メドベージェフ大統領とプーチン首相の「2頭体制」発足以来、両者がこれだけの齟齬(そご)をきたしたのは初めてで、ロシア政治の意思決定に混乱が生じ始めたとの観測も出ている。 ロシアはWTOの前身、GATT(関税貿易一般協定)時代から16年間にわたって加盟交渉を続けてきた。主要国で唯一のWTO未加盟国であり、市場経済国として国際的な認知を得るためにも加盟を「悲願」としていたはずだ。加盟交渉も95%程度進ん