カウントダウンが始まった。7月1日、自民・公明両党は、安全保障関連法案について、今月15日頃の採決を目指す方針を確認した。憲法学者から違憲だと指摘されようとも、国民の多数が今国会での成立に否定的であっても、与党は聞く耳を持たないようだ。 とりわけ自民党が強引に法案成立を目指すのは、安倍首相がこの解釈改憲によって事実上、憲法9条を形骸化させようと目論んでいるからに他ならない。そうして、なし崩しに既成事実をつくりあげたあと待ち受けるのは、本格改憲による「戦争のできる国」──これは抽象的な話でも脅しでもなく、事実である。 だが、安倍晋三は戦争を知らない。無論、筆者も、この国で生きる大多数の人たちも、それがいかなるものなのかよく知らない。どうしてだろうか。 戦後日本に憲法9条があったから──そう語るのは、アレン・ネルソンさん。海兵隊の一員としてベトナム戦争の最前線にいたアフリカ系アメリカ人だ。19