おそらく「ネガティブ・ケイパビリティ」という言葉を初めて聞く方が多いだろう。簡単にいうと、「分からないものを分からないまま、宙ぶらりんにして、耐え抜く能力」ということである。果たしてその能力が、どんな場面で役に立つのだろうか。 著者は、日本とフランスの病院での勤務経験がある精神科医で、数多くの文学賞に輝く作家でもある。著者がネガティブ・ケイパビリティという言葉に出会ったのは、ある医学論文の中だったそうだ。以来、著者がとても大切にしてきた概念である。 本書ではまず、ネガティブ・ケイパビリティという言葉を初めて使ったとされている詩人キーツや、その概念を精神分析学に用いたビオンの生涯とともに、この言葉についての歴史が語られる。さらには、ネガティブ・ケイパビリティが創作活動、医療現場、教育など、あらゆる場において、いかに重要であるかが丁寧に語られていく。医療や教育に携わる方や、創作活動に取り組んで
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