2018年4月から主要農産物種子法(以下、種子法)が廃止され、そのことをきっかけに種子に対する関心が高まっている。農業にとっては重要な制度改変であるにもかかわらず、種子法廃止をめぐる国会審議は、安倍内閣の政治姿勢の典型ともいえる強引さで押し通され、あっという間に廃止法案が2017年4月に可決成立した。国会審議中から、種子法が廃止されることは日本の食料主権は放棄することに等しいといった反対論が盛り上がり、廃止後六野党が種子法復活法案を国会に提案したり、種子法運営の主要プレイヤーである県が、種子法の仕組みを継続するための条例を作るなどさまざまな動きが出ている。ここでは、そうした種子法の制度をめぐる動きを整理すると当時に、種子論議を制度論の枠組みから解き放し、人びとにとって種とは何か、という視点から考えてみる。 ◆復活法案と県条例で対抗 まずことの経過を整理しておく。廃止された種子法がいう「主要
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