2012/10/3118:32 災害関連死をめぐる問題 津久井進 1 災害関連死とは 「災害関連死」の明確な定義はない。「災害弔慰金の支給等に関する法律」は、「災害により死亡した者」(1条)と規定するだけで、定義規定も具体的要件も定めていない。 一般的には、津波や家屋倒壊など災害の直接的な被害ではなく、避難生活の疲労や環境の悪化等により病気にかかったり、持病が悪化したりするなどして死亡することと理解されている。復興庁は、「東日本大震災による負傷の悪化等により亡くなられた方で、災害弔慰金の支給等に関する法律に基づき、当該災害弔慰金の支給対象となった方」と定義付けたが、具体的内容はなお明らかでない。 災害関連死をめぐる様々な問題は、定義の不明確さにも一因がある。2 災害関連死の実情 (1) 東日本大震災 東日本大震災では、平成24年3月31日までに1632人の関連死が報告された1)。都道府県別