欧州共通通貨ユーロが崩壊の危機にあります。EU(欧州連合)の混乱から、私たちはどのような教訓を学ぶべきなのでしょうか。 これまで多くの論者が、「“市場原理主義”が共同体を壊すのだから、国家は市場の暴走を止めるべきだ」と主張してきました。しかしユーロ危機では、明らかに「国家が市場を壊した」のであり、財政を統合しないまま通貨だけを共通にする制度設計の失敗をなんとかしなければ危機は解決しません。 問題は市場ではなく、国家にあるのです。 もうひとつは、国家と国民(市民)の関係です。 私たちは、国家権力が市民を抑圧し、自由や平等を求めてひとびとが立ち上がるという物語をずっと聞かされつづけてきました。「アラブの春」はこの典型で、独裁政権を終わらせるためにひとびとは投獄覚悟でデモを行ない、あるいは武器をとって政府軍とたたかいました。 ユーロ危機の渦中にあるギリシアでも、大規模なデモやストライキがつづいて