1,はじめに 本投稿は、モダニズムについて自分の考えをまとめたものである。ご承知のようにモダニズムについては地層をなすぐらい大量の論があり、おそらく世界共通の定説的なものも存在すると思われる。だがしかし、膨大なしかも茫漠としたモダニズム論に足を踏み入れたところで、建築に対する自らの立ち位置を定めるのにどこまで役に立つのかわからない。今、自分なりの切り口でモダニズムを読み解き、自分の今後の活動の指針とすることが今の自分には必要なのではないかと考える次第である。以下、3つの疑問点について記述することとする。 2,疑問点その1 「工業化」と「モダニズム」は同義か モダニズムを論ずるに「工業化」というキーワードは欠かせない。 工業化によって、社会は農耕社会から産業社会へと劇的な変貌を遂げ、人口も爆発的に増えることになったのは19世紀中頃のことである。 産業社会においては、大量生産のための大きな工場