その「らしさ」はどこから? 人気人類学者がユーモアあふれる筆致で ケイト・フォックス『イングリッシュネス――英国人のふるまいのルール』北條文緒・香川由紀子訳 2017.12.11 スレンダーな体に金髪、大きな瞳。チャーミングな笑顔。一見、モデルかファッション関係者かと思ってしまうケイト・フォックスは、競馬場やパブをめぐるユニークな著作で知られ、講演やテレビ番組にもひっぱりだこの人気人類学者。華やかなイメージがついてまわる彼女は、オックスフォードを拠点とする社会問題調査センターの共同ディレクターの肩書きをもつ。 刊行後たちまちベストセラーとなり、アメリカでも版をかさねている本書も、「人類学」というラベルがもつ学術的なイメージを裏切るユーモアあふれる筆致でありながら、人類学の正統な研究方法である参与観察の結果に基づいた統計を基盤にしたものだ。 人類学者は、ふつうは自分自身が属している集団、つま