猫鳴り (双葉文庫) 作者: 沼田 まほかる,ヌマタ マホカル 出版社/メーカー: 双葉社 発売日: 2010/09/16 メディア: 文庫 購入: 2人 クリック: 56回 この商品を含むブログ (41件) を見る 少し前に読んだ本ですが。 すごい。この一言に尽きます。 ありふれた言葉はこうも姿を変えるのかと、衝撃を受けました。「筆力」という単語がありましたが、この鈍器のような破壊性を持つ形のない重たい念のようなものがその力なんだとしたら、この著者の筆力は凄まじいものがあると思います。引き込まれるという言葉では足りない。底冷えするような物恐ろしさから今際の際の美しい灯までもがこれでもかという程静かに優しく美しい日本語によって描写されています。 中学生の頃、初めて太宰治の『人間失格』を読んだ時に不思議なほど強烈な背徳観を感じたのを思い出しました。幼少期、本屋でパートをしていた母が随分と絵本