前回は、クリスチャンにとってこの「沈黙」をどう受け止めるべきかについて解説した。今回はその続きで、ではほとんどキリスト教的素養のない方々、すなわちノンクリスチャンにとってこの映画は、そして遠藤の作品はどのような意味を持つのだろうか。 まず何といっても、巨匠マーティン・スコセッシの最新作というだけで心踊る方が多いと思う。バイオレンスと宗教性を見事にミックスさせるその手法は、数々の映画賞がそのレベルの高さを証明している。確かに2時間40分、全く飽きることなく画面に吸いつけられる体験は、至福のひとときと言えよう。 また、日本の俳優たちのプロフェッショナルな演技も見ものである。特にイッセー尾形!こんな暗く重苦しい作品の中で、最も邪悪な役人を演じながら、場内からは彼の言動に笑いが漏れていた。笑わせておいて、ドスンと重たいセリフを吐くその芸達者ぶりは、もしかしたら本当にアカデミー助演男優賞をゲットする