夏になると、青く広い空に映える鉄塔と電線が、よりいっそう視界で存在を主張し始めるような気がするのです。 およそ10年前、『鉄塔武蔵野線』という映画が公開されました。ふと見上げた鉄塔に書かれていた武蔵野線の文字。そして、その数字。この鉄塔をたどっていけば、1号にたどりつく。そこには何があるんだろう? そんなひと夏の「大冒険」を描いたとても気持ちのよい映画です。もともとは、銀林みのる氏の小説が原作。たった一作で「鉄塔文学」というジャンルを作り上げた、と話題になりました。 この映画や小説が無かったとしても、私は鉄塔に興味を持っていた気がします。私の記憶の中にある青空には、つねに、鉄塔のシルエットと、それを結ぶ複数の電線が含まれていましたもの。 鉄塔にはいろいろな種類があります。そして、鉄塔好きな人たちは、それぞれに愛情をこめて、あだ名をつけます。男性型や女性型、それに、ドラキュラ型(マントを広げ