細田守と大林宣彦の奇縁 今のところ9回にわたって映像化(そのうち映画は4回)されてきた『時をかける少女』だが、最初の映画化となった大林版『時かけ』(83)が与えた影響は絶大である。大きすぎると言っていい。実際、細田守版は、いかに大林版からの呪縛から逃れるかが、ひとつのテーマだった。 細田と大林には意外な縁がある。細田がプロのアニメーションの世界に足を踏み入れるきっかけとなったのが、『少年ケニア』(84)――角川映画が『幻魔大戦』(83)に続いて製作した劇場アニメーションである。監督は大林、主演声優は原田知世と高柳良一という前年に大ヒットした『時かけ』の監督・主演コンビだ。 劇場アニメーションに実写畑の監督が参加すると、往々にして監修的な立ち位置になりがちだが、大林は細部まで自身の意図を反映させたことで、『少年ケニア』は良くも悪くも語り継がれる作品となった。「アニメーションに関するあらゆる実