本を読んでいたら、昔のことが思い出されてきて、一旦本を閉じることがある。 まだ私は二十代の若造だが、それでも二十数年の人生の積み重なりがあれば、それだけいろいろな経験をする機会があった。そうなれば必然的に、思い出されてくることも増えてくる。 最近では、『野呂邦暢 古本屋写真集』(ちくま文庫)が、回顧の引き金を引いた。 野呂邦暢といえば、42歳で亡くなった夭折の芥川賞作家で、無類の古本好きとしても知られている。『野呂邦暢 古本屋写真集』には、そんな野呂が撮影した古本屋写真がいくつも掲載されている上に、古本にまつわるエッセイも収録されている。古本好きにはたまらない一冊だと言えるだろう。 そんな魅力的な一冊を読んでいるとき、私はある友人との口論を思い出していた。その口論と関係のある箇所を、上記の書籍から一部引用してみたい。 「Yは読んだ本を私にまとめて与えた。Yには本をためこむ性癖はなかった。気
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