通貨の実力を示す実質実効為替レートで見ると、2010年の日本の円は、前年比でほぼ横ばいにとどまっていたことがわかった。上昇率のトップ3は、南アフリカ・ランドなどの資源が豊かな国の通貨。08年の金融危機の後遺症に苦しむ米国のドルと、欧州のユーロは大きく下げた。世界経済の牽引(けんいん)役が新興国に移っていることが、通貨の実力にも反映された。 58カ国・地域の通貨を比較した国際決済銀行(BIS)の公表資料でわかった。 10年の円の実質実効レート(年間の平均値)は101.2。09年に比べ0.9%の上昇率にとどまり、過去3年間では最も低い伸びだった。騰落率では、円は58カ国・地域のうち27番目の中位だった。 首位は、プラチナや金などの商品価格の高騰に沸いている南アフリカのランドで15.5%。鉄鉱石や石炭の輸出国であるブラジルのレアル、豪州のドルが続いた。米国などの金融緩和であふれたお金が新興