「地球惑星科学の哲学」という言葉を聞くと、唐突な組み合わせのように思われるかもしれない。地球惑星科学? それと哲学? そもそも、科学と哲学というのは水と油のような関係なんじゃないかと言われそうだ。しかし、我々の宇宙観と哲学という2つの間には、長い付き合いの歴史がある。それも、文明が始まって以来の付き合い、と言ってもいいくらいだ。 例えば、古代のエジプトやメソポタミア、古代中国、日本でも古墳時代などの墓には、生前の埋葬者の生活風景と共に当時の宇宙全体(ドーム状の閉じた空間や、星々の輝く夜空)を表した壁画が描かれているが、それは、宇宙全体と私たちの生との間に深い関係があったこと、当時の人々が理解した宇宙全体の中で自身の生の意味を解釈していたことに由来している。 現代の地球惑星科学においても、ゴーギャンの「我々はどこから来たのか、我々は何者か、我々はどこへ行くのか(1897)」が、研究全体のモチ
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