この連載の第10回で「公開された(PISAの)サンプル問題が欧米型の読解問題としては出来の悪いものばかりだった」と書いたところ、ある中学校の国語の先生から「どこがどのように出来が悪いのか教えてほしい」との要望があった。 そこで今回は、PISAのサンプル問題から有名な「落書き問題」をとりあげ、検証してみることにしたい。 「落書き問題」とは、落書きに関する二つの意見を素材文にしたもの。二つの意見はインターネットに投稿された「手紙」という形式をとっている。一方は「落書きは芸術だからしてもかまわない」という意見、もう一方は「落書きは人の迷惑だからしてはいけない」という意見。そして「この二つの文章のうち、どちらに賛成しますか?」「どちらに賛成するかは別として、どちらの方が良い手紙だと思いますか?」などと問うのである。どちらの問いに答える場合も「文章の内容にふれながら」答えなければならない(1)。 一
![第14回 読解力の問題とクリティカル・リーディング PISAサンプル問題を評価する | 明解PISA大事典(北川 達夫) | 三省堂 ことばのコラム](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/27348b443f1ccd4c6510a44ed8ccb2abe6851f3e/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fdictionary.sanseido-publ.co.jp%2Fwordpress%2Fwp-content%2Fuploads%2Fogp.png)