長い長い歴史を持つ日本の天皇制。 存続の危機が2度あったと指摘する歴史学者もいます。 最初は織田信長の時、二度目は第二次世界大戦直後です。 後者については、異論はないでしょう。敗戦国だった日本の天皇制が存続できるかどうかは、勝者であるアメリカら連合国の考え次第でした。 では、信長の時というのはどういうことでしょう? そもそも、ときの天皇は誰だったのか――。 今回取り上げるのは、天皇の歴史では重要でありながら、あまり知られていない第106代・正親町天皇(おおぎまちてんのう)と、信長の皇位簒奪の噂に着目したいと思います。