毛細血管に血が通わなくなるように、過疎地では公共交通機関が減りつつある。ひときわ進んでいるのは津波被害を受けた宮城県の被災地だろう。県北部の海岸沿いでは鉄道が廃止となり、鉄路の上をバスが走るBRTが代わっている。浮上したのは高校の部活動をめぐる不条理だ。BRTはゆっくり走る。生徒が早朝に家を出ても、試合や大会に間に合わない。そんなとき、先生の自家用車が駆り出される――生徒を車に乗せ、運転ボランティアを務めるのだ。だが、県教委は「それはだめです」とぴしゃり。「事故をすると処分」とも明言する。なすすべがないからやっているのに、一つ間違うと処分とは……一体どうするべきか、先生の悩みは深い。 県の北端、気仙沼市の高校の先生はこう訴える。 「生徒が公共交通機関だけで大会の会場まで移動できるのが理想ですが、現実にはとてもじゃないですが無理です」 もともと公共交通機関が乏しかったが、東日本大震災の津波で