今年初めて審査委員長を仰せつかって、「奥行き」というテーマを設けてみた。これは世の中に対してのひとつの「投げかけ」でもあった。日本語である「奥行き」という言葉の持っている抽象性に、どのような具体性を与えることができるのか。この投げかけにより審査する側も、作品を見てこの抽象的な言葉から消化した作者の意図を受け取り、それが新たな奥行きの提案に当たるのかどうかを考えることになる。出品者と審査員が、単純に審査する、されるという関係ではないコンペが可能なのではないかという、ひとつのコンペというもの自体への提案でもあった。審査する側も作品に触発されて考えさせられるということ。それはつまりコクヨデザインアワードという場が、双方の新たな発見の場になること。今年の出品者数は昨年の約2倍になり、作品のレベルも高かった。グランプリの作品はそれを象徴するかのような発見を我々に与えてくれた。このアワードから、我々に