深夜、某編集部から電話。地震の前から音信が途絶えていたので、「今号の記事は流れたな」と決め込んでいたのだが、「やっぱり書いてほしい」などと言う。 朝からスタジオにこもって、今さっき、編集部に戻ってきたらしい。この男から依頼があると、決まって「やれやれ」とため息が出るのだが、いつも引き受けてしまう。 それはねえ……みんな、主役になりたいのですよ。まんまと自分だけが助かっていることに対する罪悪感を、義務感で打ち消したいのです。 「早く通常運行に戻らんかな」と言っている人もいるけど、とんでもない。戻り道など、最初からないですよ。生まれたときから、ずっとそうだったじゃないですか。いつでも、一本道ですよ。 ■ だから、『ドラえもん のび太の新・魔界大冒険 ~7人の魔法使い~』のクライマックス、タイムマシンで過去に戻り、「すべて無かったことにして」幕を引いたはずのドラえもんとのび太が「ちょっと待てよ」