ブックマーク / honz.jp (5)

  • 『ヒトはなぜ眠るのか』 24時間、戦エマセン。 - HONZ

    眠るという行為にはどうしてもサボる・不謹慎といったマイナスイメージが付きまとうようだが、はたしてそれは正しいのだろうか。眠りとは、自分が生産的であり続けるための創造的行為なのだと、今こそ声高らかに叫びたい。そんな私の心境に科学的見地から応えてくれる一冊が見つかった。 睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠の2種類があることは広く知られている。レム睡眠というのは、閉じたまぶたの下で眼球が素早くきょろきょろと動く「急速眼球運動(REM=Rapid Eye Movement)」を伴う。体はぐったりしているが、脳波覚醒に近い状態になっていて夢を見ていることが多い。対するノンレム睡眠は、いわゆる安らかにぐっすりと眠る睡眠である。 ヒトが2種類の眠りを併せ持つ起源、それは生物進化の過程と深いかかわりがある。 レム睡眠はもともと古い型の眠りであると考えられている。大脳皮質があまり発達していなかった冷血動物(変温

    『ヒトはなぜ眠るのか』 24時間、戦エマセン。 - HONZ
    arkanal2
    arkanal2 2012/10/28
    ここでレム睡眠は、意識水準や体温を下げてしまうノンレム睡眠とその逆の性質を持つ覚醒との間にうまく橋渡しをする役割を担うことになる。その橋渡しの有効な手順として見直されたのは、じつはレム睡眠の欠陥そのも
  • 『独裁体制から民主主義へ』 - HONZ

    書は非暴力闘争の研究家であるジーンシャープ博士の代表的著作である。初版は1993年に英語とビルマ語で出版された。現在ミャンマー(ビルマ)では民主化が進んでいるが、軍事政権下の2005年時点では書を所持しているだけでも禁錮7年の刑に処せられた。書の影響力はアジアに限らない。2000年のユーゴスラビアの青年運動「オトポール!」はミロシェビッチ政権を倒したが、その「オトポール!」は書を底に組織化された運動だった。 チュニジアのジャスミン革命からはじまった「アラブの春」運動も書から非常に強い影響を受けている。いや、むしろ書がなければ「アラブの春」運動は成功していなかった可能性が高い。「アラブの春」運動ではFacebookやTwitterの有用性が確認されたが、非暴力運動・テーマカラーの設定・主張の英語表記・有効だったデモとピケなど運動の根幹部分については、書の指導なしでは起こりえな

    『独裁体制から民主主義へ』 - HONZ
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    arkanal2 2012/10/27
  • 『文明と戦争』 宿命としての戦争 - HONZ

    人類200万年の「戦争の謎」のほとんどに答えを出そうとする野心的な書は、上下巻合わせて996ページ、総重量1.2kg、翻訳者13名、そして7,560円という規格外のボリュームである。全17章から成る書は3部構成となっており、それぞれが「戦争は人の能か、それとも文明による発明か?」、「戦争と文明の発展はどのように相互作用したのか?」、そして「近代化は戦争をどのように変質させたのか?」を主題として、戦争にまつわる多くの謎に光を当てていく。 そのボリュームに比例して、書の考察対象は途方も無く広いものとなっている。時間軸で見れば、武器すら持たない狩猟採集民時代から核・生物兵器によるテロの恐怖に怯える現代まで、地理的に見れば、先史時代の手がかりを残すオセアニアや南北アメリカから世界の覇権争いを主導したユーラシア大陸まで、学問領域を見れば、人類の能を辿る人類学から制度と現象の因果関係を考察す

    『文明と戦争』 宿命としての戦争 - HONZ
    arkanal2
    arkanal2 2012/08/24
    人が人である限り争いは避けられないなどは、20世紀の20~30年代の平和主義の甘さを「超克」するファシスト青年部流の悟り、啓蒙でしかない。ガットの本の主題は未開の好戦性と文明化の非好戦性への志向との合わせ鏡
  • 『地図から消えた島々』 - HONZ

    問題です!(SE:ジャジャン!) かつて「ロス・ジャルディン諸島」「イキマ島」「グランパス島」「中ノ鳥島」などが位置した海域はどこでしょう? さてさて。クイズ番組にこんな問題が出る日は来るだろうか。たぶん来ない。難問過ぎる! 解答解説もややこしくなりそうだし……。えっ? そんな島あったっけ、聞いたことない。地図にもない……。クイズマニアの方々からお問い合わせ殺到…かも! 答えは「北太平洋」である。それも日の近海の島々だという。“かつて”は航海の安全には欠かせないものである水路誌や海図に記載されていた、れっきとした地図に載っていた島々である。しかも、「地図から消えた」のは決して大昔の話ではない。「ロス・ジャルディン諸島」が地図から正式に削除されたのは1972年のことであり、「中ノ鳥島」を領土編入する閣議決定手続きの瑕疵については、なんと1998年の参院総務委員会で質疑応答されていたというの

    『地図から消えた島々』 - HONZ
    arkanal2
    arkanal2 2012/07/15
    著者の記述は、実に細かく出典を追い、煩雑にならない限りそれを明示し、表現は常に「さりげない」「控えめな」ものである。だからこそ読み手は思考力と想像力をかきたてられ、知らずに集中させられてしまう。学者・
  • 『未完のファシズム』 - HONZ

    そもそもファシズムとは何か、というのは結構むずかしい。手法が強引な政治家あらばやたらファシスト呼ばわりもされたりするが、安易な使われ方は矮小化につながりかねないという気もする。どのような条件下でどういう状況が完成すれば「ファシズム」なんだろう。 書においてファシズムとは「資主義体制における一元的な全体主義のひとつの形態」だとして、「強力政治や総力戦・総動員体制がそれなりに完成してこそ日がファシズム化したと言える」という。それならば、戦前の日はまさにファシズムが完成していたのでは? といいたいところなのだが、じつは「実態はそうでもなかった。むしろ戦時期の日はファシズム化に失敗した」というのが書『未完のファシズム』の視点である。 著者がまず注目するのは、青島戦役だ。第一次世界大戦は“戦争は軍隊だけがやるものではなく国家国民を総動員して行う時代”の幕開けだった。国家の生産力・物量が勝

    『未完のファシズム』 - HONZ
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    arkanal2 2012/07/15
    中柴末純は“玉砕によって敵の戦意を殺ぐ。そうすれば少しでも有利な講和条件が整うかもしれない。玉砕はやけっぱちではない、作戦だ”と主張した。 著者によれば、三者とも、(その経歴から見ても)実は現実主義者
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