開催趣旨 人が愛を交わす様子を描き出した春画は、古くから愛好されてきました。「枕絵」や「笑い絵」などといい、平安時代や鎌倉時代には「偃息図(おそくず)」と呼ばれ、「小柴垣草紙(こしばがきぞうし)」や「稚児之草紙(ちごのそうし)」など、鎌倉時代に制作された作例が現存しています。印刷技術の盛んでなかった時代には上層の人々だけが享受してきましたが、江戸時代に入ると版画の普及によって庶民にまで広まっていきました。そして印刷技術によらず絵師が自らの手で描き出す、従来の「肉筆」の作品にも、浮世絵版画で活躍した多くの絵師が腕を振るうようになったのです。 本展は日本初の春画展として、海外は大英博物館およびデンマークから、また、日本の美術館や個人コレクションから「春画の名品」を集めます。鈴木春信の清楚、月岡雪鼎の妖艶、鳥居清長の秀麗、喜多川歌麿の精緻、葛飾北斎の豊潤など、浮世絵の大家たちによる作品のほか、徳