富岡多恵子の『写真の時代』(筑摩叢書)を読む。これは雑誌『カメラ毎日』に1976年から2年間連載したものをまとめたもの。もう35年も前になる。あまりに古いし、しかも富岡は写真のことに詳しくないと言っている。にも関わらず内容は意外に古びていない。 富岡がまだ高校生のころ、父親がライカを買ってくれた。それで毎月カメラ雑誌を買い、コンテスト写真を見て批評文を読んでいたという。それから25年たってカメラ雑誌に連載をすることになり、何冊かのカメラ雑誌を見て、月例コンテスト写真を見た。それは25年前と変わっていなかった。月例コンテスト写真て何か変なのだ。以前、広告写真家の横木安良夫さんが、カメラ雑誌のコンテストの写真と私たちの写真は全く別のものだと断言していたことを思い出す。 本書で紹介されているゲオルグ・ゲルスターの写真集『グランド・デザイン』に興味を持った。すべて航空写真で、人間の土地を写している