部門別の資金過不足は経済の状況の把握に有用である。 企業部門(非金融法人企業+金融機関)では、バブル崩壊後に資金不足(赤字)が急減し、1998年度以降は資金余剰(黒字)が続いていることが特徴的である。 政府部門は第一次石油危機後に赤字化→バブル期に黒字化→バブル崩壊後に赤字化→金融危機とリーマンショック後には赤字急拡大だが、近年では赤字は縮小している。 家計部門は1990年代後半に黒字が急減し、その後も低迷が続いている。 家計貯蓄率も1990年代前半から約10%ポイントも低下している。 1997年の金融危機を境に日本経済に生じた構造変化は、それ以前の期間の平均との差を見ればより明確になる。 企業は対GDP比で+10%ポイント水準に上方シフトしている。 政府は平均±4%ポイントのレンジに戻っている。この水準は完全失業率と整合的である。 家計は-5%ポイント前後の下方シフトとなっている。 19
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