恋多き女優である。といっても、そのお相手は本。 読み始めれば、恋に落ちるようにのめり込んでしまう。「でも、1冊読み終える頃には、また気になる作品が出てきてしまって」 だから、かばんにはいつも本が入れてある。移動中でも撮影の合間でも、時間があれば手を伸ばし、1年間で読む本は100冊にもなるという。 本書は、この3年弱で読んだ数百冊のうち、97冊について日記風につづった読書エッセーだ。声を上げて泣いた小説も、胸を熱くしたノンフィクションも、くじけそうな時にいつも開くエッセーも魅力的に紹介していくが、本の世界と自分の日常とが溶け合い、豊かに響き合う様を丁寧につづった文章そのものも味わい深い。 「読んでいて、その世界に入ってしまう感覚を、すごく大切にしました。そうすると、するっと文章が書けるんです」 幼い日、母親に絵本を読み聞かせてもらった体験から始まる読書愛は、14歳で女優となり、言葉の重みを知