ロシア軍に侵攻されたウクライナでの経験を語るビクトリアさん(右)と母のリュボーフィさん=福井市で2022年4月7日午前10時45分、大原翔撮影 ほんの2カ月前まで、静かな生活を送っていた。ウクライナ北東部のロシアに隣接するスムイ州で暮らし、ロシア人にも親しい友人がいた。しかし、ロシア軍の侵攻後、響き渡る砲撃音や、身近な人たちから届く数々の悲惨な証言に、身も心も打ち砕かれた。激戦地となった故郷での2週間の地下室生活、そして2カ国を経由した計1万2000キロに及ぶ日本への避難の中で、彼女は何を見たのか。【大原翔、萱原健一】 女性はスムイで生まれ育ったビクトリアさん(32)。アパレルショップに勤務し、毎日ジムに通うなど、充実した日々を送っていた。母のリュボーフィさん(57)、8歳の長男の3人で、福井市に住む姉イリーナ・クシニリェンコさん(37)を頼り、4月3日に福井に避難してきた。危険が及ぶ恐れ