自民党総裁選でにわかに注目を浴びているのが「解雇規制」だ。「規制を見直す」と口火を切ったのは、小泉進次郎氏。しかし、リストラ推進策と受け止める人から批判が巻き起こった。旗色が悪くなったためか、最近はトーンダウンした。ともあれ、生活の安定を失う「解雇」という言葉に人々の心はざわつく。市井の声に耳を傾けつつ、あるべき日本の労働市場とは何かを考えた。(木原育子、森本智之)
自民党の小林鷹之前経済安全保障担当相(衆院千葉2区、4期)が19日、国会内で記者会見し、9月に行われる党総裁選への立候補を表明した。 小林氏は2021年7月、選挙区の千葉県八千代市で開かれた世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の友好団体が共催したイベントに出席。このイベントに参加した男性によると、小林氏はあいさつの中で旧統一教会の教義に共感を示す発言をしていた。小林氏は記者会見で、この点について「ご指摘いただいたような発言をした記憶は一切ありません」とあらためて否定した。
鶏卵生産大手「アキタフーズ」から現金を受け取ったとして、2022年に吉川貴盛元農林水産相の収賄罪が確定した鶏卵汚職事件で、吉川氏の約5年前に農相を務めた、栃木2区選出で元自民党衆院議員の西川公也氏(81)が、21年の東京地検特捜部の聴取に、同社から14~20年の6年間に計1500万円を受け取ったと供述していたことが、本紙の請求で東京地検が開示した刑事確定訴訟記録で分かった。(小沢慧一) 鶏卵生産大手「アキタフーズ」(広島県福山市)グループの秋田善祺元代表から、吉川貴盛元農相が2018年11月から19年8月にかけ、計500万円の賄賂を受け取ったとされる贈収賄事件。吉川氏は疑惑発覚後の20年12月に衆院議員を辞職。22年には収賄罪で懲役2年6月、執行猶予4年、追徴金500万円とする東京地裁判決が確定した。
東京都の非正規公務員として働くスクールカウンセラー(SC)250人が、今年1月に「雇い止め」の通知を受けた。出産後まもなくSCの職を失った女性(36)は「都が大量リストラをしたことは怖い。次世代が不安になる出来事」と話す。7日の都知事選投開票を前に、SCの雇用安定や、生徒らが安心して相談できる環境を望む声を上げた。(畑間香織) 「卒業するまでいてほしかった」「いなくなったら困る」。都SCの公募試験で不合格だった女性は、3月でいなくなると生徒たちに伝えると、このような言葉をかけられた。雇い止め撤回を求めるオンライン署名に協力する保護者もいた。2015年度から働き、同時に3校を任されたこともあった。「自分が大事に築いた環境を終わりにしないといけないのは、苦しかった」と振り返る。
1947年の施行から3日で77年となった日本国憲法。最近は安全保障や人権といった重要な分野で憲法をないがしろにするような政府の動きが目立つが、立法や司法が行政の権力の乱用を抑制できているとは言い難い。国民主権をうたった最高法規は、三権分立の下で尊重されているのだろうか。(近藤統義、我那覇圭) 岸田文雄首相は、菅義偉前首相、安倍晋三元首相の防衛力強化の路線を引き継ぎ、防衛費の大幅増や敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有、戦闘機の輸出解禁を次々に閣議決定してきた。憲法9条に基づく専守防衛を逸脱しかねない安保政策の大転換にもかかわらず、首相らは「憲法の範囲内」と繰り返し、国会で憲法論議を深めようとしない。 憲法解釈を変え、集団的自衛権の行使を容認した安保関連法の違憲性を問う訴訟では、昨年12月の仙台高裁判決が初の憲法判断を示した。「9条で許される武力行使の限界を超えると解する余地もある」と認めたが「
生物兵器製造に転用可能な装置を無許可で輸出したとして、「大川原化工機」(横浜市)の社長らが外為法違反容疑で逮捕され、後に起訴が取り消された事件を受け、警察庁の迫田裕治警備局長は12日の参院内閣委員会で、警視庁公安部に授与した警察庁長官賞や警視総監賞が返納されたと報告した。関係者の処分については否定した。 大川原化工機を巡る訴訟 警視庁公安部が2020年3月、国の許可を得ずに噴霧乾燥機を中国に輸出したとして、外為法違反(無許可輸出)容疑で大川原化工機の社長ら3人を逮捕し、東京地検が起訴。地検は21年7月、犯罪に当たるか疑義が生じたとして起訴を取り消した。社長らは同年9月、警視庁と東京地検の逮捕・起訴は違法だとして、国家賠償訴訟を提起。東京地裁は昨年12月、「必要な捜査を尽くさなかった」として逮捕や起訴を違法と判断し、国と東京都に計1億6000万円の支払いを命じた。今年1月、双方が控訴した。
「稼げる大学」法の廃止を求め、記者会見する(左から)東京大の隠岐さや香教授、明治学院大の石原俊教授、お茶の水大の米田俊彦教授、筑波大の吉原ゆかり准教授 大規模な国立大学法人に合議体の設置を義務付ける国立大学法人法改正案は大学の自治を破壊するとして、改正案に反対する大学教授や弁護士らでつくる「『稼げる大学』法の廃止を求める大学横断ネットワーク」は7日、東京都内で記者会見を開いた。 改正案では、東京大や京都大など大規模な国立大学法人に6年間の中期計画や予算を決議する「運営方針会議」の設置を義務付ける。会議は外部有識者ら3人以上の委員と学長で構成され、学長に運営の改善を要求できる。政府は先月31日に改正案を閣議決定し、早期の成立を目指している。 会見で東京大の隠岐さや香教授は「クリエーティブな研究をするにはボトムアップが必要なのに、トップダウンで進めれば周回遅れになる。軍事研究が後押しされる可能
音楽家の坂本龍一さんが、明治神宮外苑地区の再開発の見直しを求める手紙を東京都の小池百合子知事らに送った。都は再開発事業を許認可する立場にあり、「知事のリーダーシップに期待します」などとつづったが、小池氏は17日の記者会見で「(再開発の意義などが)坂本さんや都民の方に伝わるよう(職員に)情報発信をあらためて指示した」と述べ、取り合わなかった。再開発は3月下旬に神宮第2球場の解体から始まる計画だ。(森本智之、三宅千智) 外苑再開発は、三井不動産など民間事業者が中心で、小池氏は従来「明治神宮の私有地をめぐる開発の話」(3月3日の会見)と民間開発であることを強調してきた。17日の会見でもこうした姿勢を踏襲したとみられ、「事業者の明治神宮にも手紙を送られた方がいいんじゃないでしょうか」とも述べた。
名古屋刑務所(愛知県みよし市)で刑務官22人が受刑者3人に暴行などを繰り返していた問題で、刑務官による不適切な処遇は400件以上に上り、うち暴力を伴う行為が100件を超えることが法務省への取材でわかった。一部の刑務官は暴行が常態化していたとみられ、同省は調査を進めた上で、関係者の処分などを検討する。 同省によると、22人は昨年11月上旬〜今年8月下旬、40〜60代の男性受刑者3人に、計400件超の不適切な処遇をしていた。うち100件超は暴行で、胸ぐらをつかんだり、顔にアルコールスプレーを噴射したり、顔や手をたたいたりするなどの行為をしていた。暴行以外では、暴言を吐いたり、部屋に物を投げ入れたりするなどの行為が確認された。
提言を公表する「平和構想提言会議」のメンバーら。左から武器取引反対ネットワーク・杉原浩司代表、ピースボート・川崎哲共同代表、ピースボート・畠山澄子氏、上智大・中野晃一教授=15日、国会で(高嶋ちぐさ撮影) 政府が16日に閣議決定する方針である外交・防衛の指針「国家安全保障戦略」など安全保障関連3文書に関し、憲法学者らによる「平和構想提言会議」は15日、3文書に現行憲法では認められないような内容が盛り込まれているとして、対案と位置付ける提言「戦争ではなく平和の準備を—”抑止力”で戦争は防げない—」を公表した。政府が進める敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有や防衛費の大幅増を批判し、憲法9条に基づく専守防衛の堅持や、外交交渉で緊張緩和を実現する重要性を訴えている。 (柚木まり)
鈴木俊一財務相は9日の防衛力強化に関する政府の有識者会議で、防衛費を増額する場合は国債に頼らず恒久的な財源を確保すべきだと主張し「税制上の措置を含め多角的に検討する」と強調。財務省は同会議への提出資料で「幅広い税目による国民負担が必要」との方針を鮮明にした。自民、公明両党の幹部からも、所得税や法人税を数年後から引き上げ、増税で財源を確保すべきだとの意見が続出している。 財源を巡っては当初、安倍晋三元首相が「防衛費は祖国を次の世代に引き渡していくための予算だ」と位置づけ、借金である国債を提案したが、死去後は下火になり、増税論が台頭している。2023年度の予算案や税制改正大綱が決定される年末までに、政府・与党が一定の方向性を打ち出す見通しだ。
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