こどもを育てることは親の権利であり、義務でもあります。親がこどもを育てる権利と義務は「親権」といって民法で規定されています。近年、その親権を濫用し、こどもに暴力を振るったり、こどもを放置したりするといった児童虐待が増えています。児童虐待からこどもを守るための方法の一つとして、民法には、「親権制限制度」、「未成年後見制度」があります。両制度については、児童虐待対策の実効性を高めるために、平成23年に見直しが行われ、平成24年4月1日に施行されました(平成23年法律第61号による改正。以下、「平成23年改正」といいます。)。 1後を絶たない児童虐待 全国の児童相談所に寄せられる児童虐待の相談件数は、近年増え続けており、平成28年度の相談対応件数は122,578件(速報値)に上ります。「身体的虐待」、「ネグレクト(養育放棄)」、「性的虐待」、「心理的虐待」によって、こどもを死に至らせる深刻な事件