§ 音 階 1 はじめに 小中学校の音楽の授業では、いつもハ長調とかイ短調とかいった言葉に悩まされていたかもしれません。この何長調とかいう分類が、調性(tonality)という概念です。調性は、音楽すべてに備わっているものではありません。調性を持った音楽は、西洋の17世紀以降に存在する特定の場所と時代の産物なのです。 では、調性を備えていない音楽がすべて無調かというと、そうでもありません。一定の秩序をもっています。そのときの秩序が、音階(scale)というものです。そして、音階は、特定の色彩を与えます。 例えば、ある曲を、ド ミ ファ ソ シ ドで構成します。そうすると、不思議なことに、すべて沖縄風に聞こえてきます。曲そのものではなく、メロディーのなかで使われた音の集団が、特定の色彩を与えたわけです。これは、アラブ音楽などに例をとることもできます。 下の類型化は、小泉文夫の「歌謡曲の構造