ヒストンデアセチラーゼとその阻害 ヒストンデアセチラーゼ阻害による新しいタイプのがん治療が研究されています。神経系や脂肪蓄積にもヒストンデアセチラーゼ阻害が関与するという報告もあります。ヒストンデアセチラーゼとその阻害とは何か,簡単に説明します。 1.細胞のDNAはコンパクトに折りたたまれている ヒトの遺伝子はDNAです。遺伝子を含むDNAの長い鎖はヒストンというタンパク質に巻きついて,規則正しくコンパクトに折りたたまれ,細胞の核内に存在します。一つの細胞の核内に納められているDNA鎖を一本につなぎ合わせると約2mになると言われますから,DNAがいかにコンパクトに収められているかが分かります。 2.遺伝子の発現にはヌクレオソーム構造の変化が必要です 真核生物のDNAはクロマチンと呼ばれるDNAとタンパク質の集合体として存在します。クロマチンはDNAがヒストンに巻きついたヌクレオソームという