シンガポールのチャンギ国際空港近くで5月、日本の技術を使った下水再利用プラントが稼働を始めた。国土が狭く水源の少ないシンガポールで、毎日約90万人分の生活用水に相当する22万8千立方メートルの水を生み出す施設だ。 プラントの品質を左右する逆浸透膜という濾過(ろか)膜には、2ナノメートル(ナノ=10億分の1)の微細な穴があいている。大量の水を流しながらイオン、塩類、小さい有害物質を取り除く。逆浸透膜の世界市場で8割強のシェアを持つのが東レ、日東電工、米ダウ・ケミカルの3社。東レの水処理事業部門長、房岡良成さんは「世界最高水準の性能」と太鼓判を押す。 「こんなに漏水率が低いとは…」。国際協力機構(JICA)の研修事業で3月に東京都板橋区の三園浄水場を訪れたチュニジア水資源開発公社のアブデラウフ・ヌイセール脱塩・環境局長は、思わず声を上げた。 浄水場と家庭などを結ぶ東京都の配水管の延長は、地球の