「人間は、自分が理解していることを漏れなく説明することができない」という驚きの事実によって、人工知能は冬の時代を迎えます。しかし、ある手法が広まることによって、現在の人工知能ブームとも言える状況が起きます。さて、それは一体どのような手法なのでしょうか。 人間の思考をコンピュータにトレースしようとした科学者たちの失敗を具体的に見てみましょう。 たとえば画像を見て、その画像に何が写っているかを評価することは、昔のコンピュータにとって恐ろしく難しい問題でした(この「評価」は、「判断」とするのが国語的に正しいのでしょうが、第3回の説明にのっとり「評価」という表現を使います)。 画像にコップが写っているかどうかを評価するプログラムを考えてみましょう。コンピュータの記憶力がどれほどよくても、世のなかに無数にあり、今後も無限に生み出されるコップの形状をすべて把握しておくことはできません。 それにコップの