ハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)などのエコカーは“普及元年”を迎える中、エンジン音がしないため、歩行者が気付きにくい電気モーターによる走行が、事故の原因になりかねないとの指摘が出ている。国土交通省によると、音が静かな静粛性が原因の事故は報告されていない。ただ、HVだけでも今後10年間で世界販売台数が20倍以上に増えるとの予測もあり、エコカーの本格普及に備え、国連が今春から国際基準の検討に乗り出したほか、国内メーカーも走行時に音を発生させる装置の開発を始めている。 5月下旬の雨の日、都内で、トヨタ自動車のHV「プリウス」を運転していた30代の主婦は、思わずブレーキを踏んだ。狭い一方通行の道路を低速で走っていると、左前方を傘を差しながら自転車で走っていた高齢者が車の前に出てきたからだ。 プリウスの場合、発進時や低速時はモーターだけで走行するため、歩行者は後ろから車が近づいてきたことに