そろそろ世を飛び交う「明けましておめでとう」も落ち着いてきた頃であろう。 森見登美彦氏は奈良でひっそりと年末年始を迎えた。 さて、お正月のこと。 ひょっこりと2013年氏が訪ねてきた。 2013年氏は達磨のように着ぶくれていた。 そして巨大で真っ赤なマフラーを巻いていた。 その日は冷え込みが厳しかったからである。 彼は森見家の玄関先に立って、マフラーをいじってモジモジした。 「森見登美彦さんのお宅はこちらですか?」 「ええそうですよ。遠いところをわざわざどうも」 「いやいや、それほど遠いわけでもないんですけれども。とにかくいろいろと挨拶にまわらなければならないので」 「たいへんですなあ。どうぞ上がってお茶でも」 「いやいや、そんなお茶だなんて」 「お菓子もありますよ」 「なんとお菓子ですか。しかしそんなわけには、いやしかし、それはなかなか」 2013年氏は人見知りであるようだった。 201
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