日本は夫婦の離婚後、父か母どちらかが子供の親権を持つ「単独親権制度」を採用している。だが、日本以外の多くの先進国は「共同親権制度」をとる。夫婦に愛がなくなっても親である権利は守られることから、共同親権のほうが理想的とされ、日本への導入も検討されている。 だが、フランス映画『ジュリアン』を観ると、どちらが子供にとって幸せなのか、考えを巡らせずにはいられない。 11歳のジュリアンは、両親が離婚し、母親と姉とともに暮らす。だが、離婚調停において裁判所が共同親権を認めたことから、ジュリアンは2週間に一度、父親であるアントワーヌの元で過ごさなければならない。離婚の原因はどうやら元妻へのDVらしい。2人で過ごす週末。イライラを募らせるアントワーヌは、ジュリアンの前でも次第に本性をあらわしていく──。 『ジュリアン』はフランスで40万人を動員、ヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞(監督賞)を受賞。社会問題を扱