国際教育総合文化研究所 所長 寺島 隆吉 氏 朝日大学経営学部 教授 寺島美紀子 氏 ノーベル賞受賞者で英語に血道をあげた人はいない ――経済界を中心に、「英語力こそが研究力であり、経済力、国際力だ」と喧伝されています。しかし、先生は著書で、そのいずれもが神話に過ぎないと喝破されています。この点についてもう少し詳しく解説していただけますか。 寺島 日本人のノーベル賞受賞者の経歴を克明に調べましたが、1人として英語に血道をあげた人はいませんでした。『英語で大学が亡びるとき』で詳しく述べましたが、これまでの日本のノーベル科学賞受賞者21人でアメリカの大学で博士号をとった方はわずか3人に過ぎません。ノーベル賞を受賞するような研究をするにあたって必要なのは語学力・英語力ではなく、「科学する心」であり、母語で思考しながら疑問をつくり出し、未知のものを創造する力です。高度で創造的な思考を支えるのは母語