★(3) 朝日新聞による、戦争報道の自己検証である『新聞と戦争』(朝日新聞出版、2008年6月)には、作家の井上ひさし氏のコメントが掲載されている。新聞の戦争責任を一応認めるが、すべては権力による言論統制の結果だと、結局、朝日を免罪していることは、4月24日発行号の前回連載で紹介した。 井上氏のコメントの末尾には、「新聞と戦争について戦後いろいろな記事が書かれたが、今回の連載『新聞と戦争』は出色のできばえだ。過去の自らの活動を、驚くほど厳しく自己点検している。(中略)引き続き勇気をふるって、自己点検を続けてほしい」(562ページ)と、自己検証の継続を求めている。巻末の「あとがきに代えて」でも、記者が「すべての課題を検証し終えたとは思っていない」(576ページ)と明記している。 しかし、同書刊行から6年たつが、私が見るところ、その後の検証は行われていないようだ。 実は、取材班トップである外岡