新宿にて。核兵器によって破滅した後の世界で生きる残された人びとを描いた、ディザスター/ディストピア映画。主人公は、この世界に1冊しか残っていない貴重な本を持って移動するという役割を担う男。ディザスター/ディストピア映画は、わたしにとってはきわめて重要な映画ジャンルであり、とても真剣に見ました。アクションシーンがていねいに描かれるなど、エンタテインメントとしてもたのしめる映画でした。 「大破局後の世界」を扱った映画においてある種の転換が訪れているとおもうのは、破滅がやってきた後の社会状況をいかに描くかという視点の変化である。わたしがそれを最初に意識したのは『トゥモロー・ワールド』だ。破滅の危機に瀕したイギリスの都市は、まずなによりきわめて不衛生な場所として描かれる。通りにはごみやがらくたが放置され、建物や壁は破損したまま、道ばたには牛の死体が腐ったまま投げだされている。なぜなら国家危機の状態