ドイツ、ライプツィヒにあるマックス・プランク進化人類学研究所のクリーンルームで作業する遺伝学者のマティアス・マイヤー氏。マイヤー氏は動物の骨製の遺物からヒトのDNAを抽出する技術を開発したチームのひとりだ。(PHOTOGRAPH BY MAX PLANCK INSTITUTE FOR EVOLUTIONARY ANTHROPOLOGY) 古代のDNAは考古学を変えた。遺体に残る遺伝物質を増やすことで、古代人の性別や祖先を特定することが可能になった。今や数十万年前のDNAまで研究できるようになり、米大陸に初めて到達した人類や、ネアンデルタール人の行方など、遠い昔の出来事について新たな理解をもたらしている。 このほど約2万年前の女性が身に着けていたと思われるシカの歯のペンダントからヒトのDNAが抽出され、2023年5月3日付けで学術誌「Nature」に論文が発表された。ほかの動物を材料にした遺