組織の運命 人間と同様、会社は生まれた瞬間から老化が始まります。さらに言えば、会社の活動を一言で表現すれば、「老化との戦い」ということができるでしょう。それは会社という生命体が持っている「不可逆性」、つまり「可逆」(もとに戻れる)ではなく、 「もとには戻れない、あと戻りができない性質」 によります。 本連載では、会社が持っているさまざまな不可逆性を事象として説明するとともに、それがなぜ起きるのかについての根本原因を探っていきたいと思います。 「大企業病」という言葉があります。従業員が悪い意味で「官僚的」になってセクショナリズムが蔓延(まんえん)し、顧客意識が希薄になることで組織の活力が削(そ)がれていくという状態がその典型的症状です。 大企業の経営者は(ときに中小企業においても)、しばしば自らの会社がこの状態の陥ることに危機感を覚えて、社員に対してこれを打破するように呼びかけます。しかしな