「ドラえもん」のガキ大将ジャイアンのこの名言は、「ジャイアニズム」という言葉さえ生んだ。なんと声優によるアドリブだったという説もあるそうだけれど、この一見ジコチュー極まりない思想も、考えてみればNapsterとかWinMXといったP2Pファイル共有ソフトにおいては至極当然の前提条件である。誰かの共有フォルダに置いてあるファイルもひとたびダウンロードすればその瞬間から「俺のもの」だし、自分のHDに保存してあるファイルはもちろん最初から「俺のもの」だ。この前提がジャイアン的な理不尽を逃れているのは、ファイルというものが完全に複製可能だからであって、ところで紙でできた本はどうかというと当然そう簡単には複製できない。コピー機やスキャナーを使ったとしても、「完全に複製」となると個人レベルではほぼ不可能だ。そう考えるとつい、本はこの「P2P共有」の恩恵には与れないような気がしてしまう。 だからかどうか