アマゾンは究極ともいえる利便性を提供してきました。赤字覚悟でシェアを拡大するため、競合は対抗できません。その結果、何が起きるか。アメリカでは従業員の賃金が抑圧されているという告発が相次いでいます。地元に根付いていた小売業者も駆逐されつつあります。立教大学ビジネススクールの田中道昭教授は「顧客への熱い想いはうかがえるが、社会への責任についてほとんど言及がない」と指摘します――。(第3回、全3回) ※以下は、田中道昭『アマゾンが描く2022年の世界』(PHPビジネス新書)の第7章「ベゾスは真の顧客第一主義者か、それとも利己主義者か」を再編集したものです。 「何を買うにもアマゾン」というユーザー 2017年10月時点で、アマゾンの時価総額は約4700億ドル、2016年12月期の売上高は約1360億ドルにのぼります。オンラインショッピング市場におけるシェアは46%、現在では米国でオンラインショッピ