中国・四川省、成都武侯祠の孔明像。蜀の君主である劉備も祀られている。 映画「新解釈・三國志」が公開され、話題となっている。その主人公である劉備と、軍師の諸葛孔明は、史上屈指の「理想の主従」として語られてきたが、その実像はいかなるものだったのだろうか。三国志研究の第一人者が解き明かす。 ※本稿は、『歴史街道』2021年1月号の特集「諸葛孔明と劉備」から一部抜粋・編集したものです。 【渡邉義浩 PROFILE】早稲田大学理事・教授、早稲田佐賀学園理事長。昭和37年(1962)、 東京都生まれ。筑波大学大学院歴史・人類学研究科博士課程修了。文学博士。三国志学会事務局長。専門は中国古代思想史。著書に『三国志』『漢帝国』『人事の三国志』『三国志 研究家の知られざる狂熱』などがある。 挙兵時の劉備軍団の実相 三国志の時代は、価値観が大きく変わろうとする転換期でした。2世紀後半の中国では、400年続いた