「三権(司法(最高裁判所)、立法(議会)、行政(大統領府))の中で司法は比較にならないほど明らかに最も弱小」。後に初代財務長官に就任する建国の父のひとり、アレキサンダー・ハミルトン(1755~1804年)は、憲法草案への支持を訴えた「ザ・フェデラリスト第78編」(1788年発行)にこのように記述した。 しかし、6月末の最高裁判決(2021~2022年期)からは、最高裁は今や三権の中で最も影響力を発揮しているように見える。人工妊娠中絶は憲法が保障する権利ではないとする判決(24日)、発電所の温暖化ガス排出に対する政府規制を制限する判決(30日)、銃携帯の権利を拡大する判決(23日)など、アメリカ社会のリベラルな方向への変化を制止しようとする最高裁の保守化の動きが浮き彫りになった。 今起きていることの背景には、民主党が議会と大統領府を握っていても、膠着状態の議会が重要政策を可決できないため、そ
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