かつてロシアは自国でクリミア戦争の戦費を調達できず、英国の金融街シティで調達せざるを得ませんでした。そもそも敵国である英国が、ロシアの戦費調達を助ける合理的な理由がありません。英国がとった驚きの行動は。経済評論家の加谷珪一氏が著書『戦争の値段 教養として身につけておきたい戦争と経済の本質』(祥伝社黄金文庫)で解説します。 敵国を支援してでも金融市場を守れ 国際社会に少々、不可解な印象を与えたロシアによるクリミア侵攻も、経済というフィルターを通すことでかなり客観的に分析することが可能です。 2014年、ロシアはウクライナのクリミアを制圧、自国の影響下に置きました。世の中では、大きな戦争が起こるのではないかと憂慮する声が出ましたが、各国の資本家は思いのほか落ち着いていました。 ■ロシアはなぜ戦線を拡大しないのか? その理由は単純で、資本家は戦争とお金の関係を知り尽くしており、ロシアに戦線を拡大